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by 渡部元吾

これだけは知っておきたい羽毛布団!羽毛輸入の舞台裏

「軽くて暖かい羽毛布団がほしいのだけれど、安いモノから高いモノまでいろいろあって、どれを選べばいいのかさっぱりわからないんです……。」

そんなお客様にオススメの羽毛布団の購入時のポイントです。

中国産の羽毛が嫌われる理由

羽毛布団の中身、羽毛の原産地はポーランドやハンガリーなど東欧産が人気です。蒲団屋に羽毛布団を買い求めに来てくださるお客様の中には「中国産だけは絶対に買いません。」とおっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。

今までに、毒入り餃子・ダンボール入り肉まん・マクドナルドが輸入していた期限切れ鳥肉・メラミン入り粉ミルクなど色々な中国の食品の事件がありました。他にも高級ブランドバッグのコピー商品や、ディズニーのキャラクターに似せた商品が出回っていたりと、本当に中国に関して良いイメージはありません。
お客様が中国産羽毛を毛嫌いする理由はよくわかります。

欧州産がなぜ人気があるのか?

羽毛布団が普及し始めた1970年代は、ポーランド・ハンガリー・チェコなど東欧の国々は社会主義国でした。食料の自給自足が原則で、家禽(かきん)農場なども政府が厳しく管理していました。

家禽(かきん)とは、肉・卵・羽毛などを利用するために飼育する鳥の総称です。

鳥肉の副産物である羽毛も、安定した供給量と品質で集荷されていました。副産物であるため『羽毛を販売してたくさんの利益を上げる。』ということに関しては重視されていなかったために、手に入りやすかったのです。
そして、もちろん東欧の寒冷な気候・鳥の種類・飼育期間からいっても東欧産ホワイトグースダウンは品質が良かったのです。そのため日本では、羽毛布団の普及時期に東欧産羽毛が高級品羽毛布団として販売されました。
しかし社会主義体制の崩壊後は、各国の家禽飼育会社は独立採算制となりました。そして鳥肉の相場に合わせて、飼育量の増減と飼育期間の短縮などが調整されて、飼育場の規模も縮小されて品質が低下しました。安定した価格での供給が困難な状況になったのです。

良い家禽(かきん)農場に必要なものは

  1. 質の良い家鴨(かも)・鵞鳥(がちょう)などの水鳥
  2. 羽毛を加工する最新の機械
  3. 品質の管理が信頼できる経営者

の3つです。品質=原産国、というわけではありません。 寒冷な気候の中国北部でも信頼できる農場や工場であれば、同様の高品質の羽毛を採取することができるのです。
しかし日本では羽毛布団の普及時期にポーランド産・ハンガリー産が高級羽毛布団として販売されてきたために、欧州産はすべて高級品質という認識が定着し、今でも人気があるのです。

日本の羽毛の原産地の表示は明らかにおかしい

大きな問題があります。
2015年の財務省統計によると、日本の羽毛原料の輸入量の75%が中国・台湾・ベトナムの東南アジアです。欧州産・ロシア産はわずか17%です。しかし、日本の市場に出回っている羽毛の原産地は欧州産が多くを占めています。つまり羽毛の原産地の偽装が行われているのです。
そしてついに、2016年5月7日の朝日新聞の朝刊に『羽毛布団産地偽装か』の記事が出ました。
→【記事の内容】の詳細(デジタル版)はこちら

朝日新聞社が東京・名古屋・大阪・福岡で販売されている羽毛布団を調べたところ490点のうちの97%にあたる475点は欧州産・ロシア産と表示されていたそうです。報道各局にもこの問題が取り上げられて、お客様の羽毛布団に対する信用が失われかねない状況になりつつあります 。このままでは消費者の羽毛布団離れが起きるかもしれません。
しかし、掛け布団の充填(じゅうてん)物として羽毛以上に軽くて暖かいものは存在しません。お客様が暖かく快適に眠ることを求めている限り、羽毛に代わる掛け布団の充填(じゅうてん)物はないのです。

蒲団屋の羽毛布団は産地偽装はありません

蒲団屋が羽毛布団を作ってもらっているのは、東陽産業株式会社という企業です。この会社は羽毛はもちろん直輸入で、自社工場の羽毛洗浄システムを用いて、自社工場で一貫して羽毛布団を製造しています。

良い羽毛を取るための条件とは以下の5点です。

  1. 水鳥の種類
    細かく数えると10種類以上ありますが、一般的に大きく分けるとグースとダックに分かれます。
    おすすめなのはグースです。理由はグースの方が身体が大きいため、大きなダウンボール(タンポポの綿毛のような球状の水鳥の胸毛)が採れるからです。
  2. 飼育期間
    飼育期間が短いと、ダウンボールが小さくなってしまい、反発力が弱く、毛足が少ない羽毛しか採取できません。一般的には、冬の間に最低でも75日以上飼育しないと成熟した羽毛が育たないのです。
  3. 餌の質
    栄養バランスにすぐれた飼料を与えると大きく丈夫な水鳥に成長し、耐久性が高く質の良い羽毛が採取できます。
  4. 飼育環境
    狭い場所で健康状態を気にしない育て方ではなく、水鳥にストレスをかけないように広々とした自然環境で飼育することが大切です。
  5. 採取方法
    いろいろな採取方法がありますが、なるべく水鳥に負荷をかけない方法で採取することが大切です。

東陽産業株式会社及び取引先各店舗はたびたび原産地に足を運んで、これらの条件を細かくチェックして輸入しています。そしてもちろん羽毛の輸入に関わる主な書類、インボイス(羽毛メーカーから輸入者への請求書 )・動物検疫証明書・パッキングリスト・船荷証券・輸入許可通知書・精毛の記録などもそろっています。
先日も東陽産業株式会社の小林社長にお会いする機会があり、これらの原産地証明の書類を見せていただいたところです。
「もしお客様から開示の要望があれば、もちろんお見せすることが可能です。」との事でした。

→【東陽産業株式会社】の公式サイトへ移動

羽毛布団の良し悪しを決めるのは

羽毛布団の良し悪しを決めるのは、1番目に羽毛の品質です。この品質で羽毛布団の良し悪しの大半が決まります。そして2番目がその品質に見合う価格であるかどうか?です。最後の3番目が原産国はどこか?です。

どうも日本の消費者は原産国を重視するあまり品質を見極めようとしていないと思われます。欧州産でもピンからキリまであります。欧州産の羽毛=高品質、中国産の羽毛=粗悪品、ということではありません。欧州産の羽毛にも品質の良くないものもありますし、逆に中国産の羽毛にも高品質の物がちゃんとあります。ですので原産国にとらわれすぎずに品質を見極めることが重要です。

まとめ

『押して、叩いて、嗅いで、見る』これが一番シンプルで分かりやすいチェック方法です。一般のお客様でもできる方法です。

まず羽毛布団を上から手で押して潰してパッと手を放してください。そしてどれくらいの時間で元のふんわりとした形に戻るかを確かめます。
次に、布団を叩いて生地からホコリが出ていないかを確かめます。
そして布団を嗅いでみて、鳥小屋のような臭いがしないかを確かめます。最後に、布団から羽毛が吹き出ていないか?縫い目は綺麗に仕上がっているか?をよく見て確認します。
羽毛布団を購入するときは、この4点を必ず確認してください。念のためにお店の方の許可を頂いて丁寧に確認することをお勧めします。

服を買うときにサイズ感や自分に似合うかどうかを確かめるために、私たちは試着をします。羽毛布団も服を試着するのと同じように、実際に触って確認してから購入することが大切です。
「羽毛布団の値段の違いって、一体何が違うのかさっぱり分からないわ。」とおっしゃるお客様でも、きっと羽毛布団の良し悪しが分かってくるようになると思います。羽毛布団に大きな値段の違いがあることにも、納得していただけると思います。

蒲団屋の羽毛布団も『押して、叩いて、嗅いで、見る』ぜひ、これを確認してみてください。ご来店を心よりお待ちしております。
→蒲団屋オススメの【羽毛布団】はこちら

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