by 渡部元吾
読んで納得!商品チラシには載っていない羽毛ふとんの中身をやさしく解説
目次
近年、羽毛布団用生地の紡績(糸を紡いで織物を作る)技術や、羽毛加工技術が発達したおかげで、羽毛布団は冬に欠かせない身近な寝具となっています。
実は1世帯当たりの普及率は100%を超えています。
つまり1家族が最低1枚は羽毛掛ふとんを持っているのです。
そんな身近な羽毛布団ですが、高額な買い物にもかかわらず、中の羽毛を確認して購入することができません。
お客様を困らせる、購入者泣かせの商品ですね?
ダウンとフェザーの特徴
羽毛は水鳥の体毛のことですが、大きく分けるとダウンとフェザーの2種類になります。
ダウンの特徴
- ダウンはたんぽぽの綿毛の様にフワフワとした丸い形をしていて、ダウンボールとも呼ばれています。
- ダウンは水鳥の体を保温するためのもので、水鳥の肌着にあたります。軽くて、とても暖かい素材です。
- ダウンは温度の変化に合わせて一粒一粒のダウンボールの大きさが変わります。
気温が低くなるとダウンの粒が大きくなり、気温が高くなるとダウンの粒は小さくなります。
フェザーの特徴
- フェザーは、いわゆる赤い羽根募金の羽根と同じ形をしていますが、羽毛布団に使用される羽根はもっと小さくて柔らかく弾力もあります。
羽根の中心部にある羽軸の長さが1〜3cmでスモールフェザーと呼ばれています。
それよりも大きなものはラージフェザーとなります。 - フェザーは、防水と防風のためのもので水鳥の上着にあたります。ダウンよりは硬くて重い素材ですが、夏はダウンよりも過ごしやすい素材なのです。
- フェザーは、温度の変化に合わせて密度(本数)が変わります。
気温が低くなるとフェザーは密度が高くなって優れた保温性を発揮します。
気温が高くなるとフェザーは密度が低くなって熱気を逃します。
このように、ダウンとフェザーは一年中変化しながら、水鳥の体を守っています。
掛け布団の中身として最高の素材なのです。
羽毛布団は、冬はダウンの混合率が高いものが軽くて暖かく、夏はフェザーの混合率の高いものが通気性が高く涼しい寝具となります。
寝具業界ではダウン50%未満のものを羽根布団、ダウン50%以上のものを羽毛布団と表示します。
ダウン◯%の落とし穴
※↓タップで画像を拡大
※↓クリックで画像を拡大
ダウンは未熟ダウンとマザーダウンの2種類に分けられます。
未熟ダウンの特徴
水鳥の飼育期間が短くダウンが未成熟です。
1粒1粒のダウンボールが小さく、中心部の元羽軸から伸びる無数の羽枝(羽毛のファイバー)も細く短いために、保温性が低くなります。
耐久性も悪く羽毛布団としてしばらく使用すると、羽枝が断裂して保温性がさらに落ちてしまいます。
そして、羽毛布団として長い間使用すると、布団の中でダウンボールや断裂したファイバーが絡み合って塊になってしまいます。
短期間で手っ取り早く育てるために成長ホルモン剤を使用しているため、布団に用いると強烈な臭いを発します。
マザーダウンの特徴
水鳥の飼育期間が長くダウンが成熟していますから、一粒一粒のダウンボールが大きく保温性に優れています。一本一本の羽枝も太くて長く伸びています。
成長ホルモン剤は使用していませんから匂いもあまりありません。
耐久性も良好で、羽枝が断裂したりダウンボールの塊ができたりしにくいため、15年以上は使用可能です。
一般的に、羽毛布団はダウン95%とか90%などのダウンの混合率の高いものが、高品質の羽毛布団とされていますが、単純にダウンの混合率だけで判断するのは危険です。
未熟ダウンであるか、マザーダウンであるかどうかを確認することが大切です。
グース(鵞鳥)?それともダック(あひる)?素材で変わる寝心地と耐久性
水鳥の種類はグース(鵞鳥)とダック(あひる)に分かれます。
グースは基本的にダックよりも体が大きいため、耐久性のある質の良いダウンを採取することができます。
ダックは基本的にグースよりも体が小さいため、1つ1つのダウンボールは小さめになります。
グースのダウンの方が軽くて暖かい羽毛布団を作ることができますので、羽毛布団の中身が、グースダウンなのかダックダウンなのかということを確認することも重要になります。
もちろん、中の羽毛を取り出したとしても、グースダウンなのかダックダウンなのかということは100%正確に判断はできませんが、以下のような事でおおよそ判断する事ができます。
- ダウンボール(ダウンの粒)の大きさ
- ダウンボールの白さ(ダックは黄色味を帯びている)
- ダウンとフェザーの形が綺麗に成熟しているか
(ダックは飼育期間が短いためダウンやフェザーが未熟なものが多い)
陸鳥について
ニワトリや鳩などの陸鳥は体にダウンを備えていません。
体にフェザーは備えていますが、水鳥のフェザーが立体的な構造をしているため膨らみや保温性に優れているのに対して、陸鳥のフェザーは平面的な構造をしているため保温性や弾力性に乏しく、さらに吸湿性・発散性にも劣ります。
一部の粗悪品を除いては、陸鳥の体毛は羽毛製品には使用しません。
蒲団屋で行っている羽毛布団の中身の調べ方
※↓タップで画像を拡大
※↓クリックで画像を拡大
まず、お客様の羽毛布団の縫い目を2〜3cm程度ほどくのですが、なるべく寝心地に影響が出ないように布団の端の方をほどきます。
次に、ピンセットを使用して中の羽毛を取り出します。
取り出した羽毛を、マザーダウンと未熟ダウン、スモールフェザー、ラージフェザー、陸鳥(ニワトリ)フェザー、夾雑物(ゴミ)に分類しておよその混合率を見極めます。
陸鳥(ニワトリ)のフェザー
陸鳥のフェザーは、羽根の中心部の軸の根元に小さな小羽根があり、水鳥よりも羽枝に光沢があります。そして羽軸周辺の羽枝の生え方がはしご状になっています。
調査が終わったら取り出した羽毛を全部布団の中に戻して、ほどいた縫い目の部分をミシンで縫い合わせます。
羽毛布団の中身を見ることのデメリット
羽毛布団の中身を見ることにはデメリットもあります。
せっかく綺麗に縫製してある羽毛布団の縫い目をほどいて、また縫い合わせるわけですから、ミシン目の美しさという点においては気になります。
また中身を布団から出し入れする時に羽毛は非常に小さくて軽い素材ですから店内の空気の流れに乗って一部紛失してしまうという点も問題です。
中身を取り出してわかること
蒲団屋では、あなたが使用されている羽毛布団の中身を少しだけ取り出して、どの様な品質の羽毛が入っているのか無料でお調べしています。
もちろん、水鳥の種類や産地を正確に特定するためにはDNA鑑定が必要になりますが、以下の様な事がチェックできます。
- 羽毛ではない異質物が入っていないか?
- 水鳥ではなく陸鳥のフェザーが使用されていないか?
- 未熟ダウンや夾雑物が異常に多くないか?
このような事からおおおよその羽毛の質のレベルが分かります。
そして最終的に、調べた羽毛の状態と羽毛布団に付いている品質表示を照らし合わせて、相違がないか判断します。
もしお客様が、ご使用の羽毛布団の中身に不信感を感じているようでしたら、お気軽に蒲団屋にご相談ください。
上記のデメリットを勘案しても、ほぼ一生見ることなく使い続ける羽毛布団の中身を確認することには意味があると思います。
ぜひ中身を確認して、安心して使用されることをオススメいたします。他店の羽毛布団でも大歓迎です。ぜひお気軽に、ご連絡の上蒲団屋にお持ち込みください。
日本羽毛ふとん診断協会認定の羽毛ふとん診断士(ダウンプロフェッサー)が、丁寧に羽毛の説明をさせていただきます。
蒲団屋へのお問い合わせや、体験会のお申込みはこちらのフォームから
お電話でのお問い合わせは、0800-200-1194(通話料無料)または、089-931-2355へご連絡ください。