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by 渡部元吾

店づくりとまちづくりと杉(4)

されど杉ーー古き良きモノを残す目と新しきモノを取り入れる勇気それを見極める英知

時代と共にスタイルを変えて蒲団屋も変革していきましたが、いくら時代が経ても変えてはいけないモノ、伝え継承していくべきモノがあると思います。
松山市が掲げた「坂の上の雲」を軸にまち全体を博物館ととらえる「フィールドミュージアム構想」のセンターゾーンに当商店街が指定され、ファサード景観整備、道路景観整備(電線類の地中化等)が沢山の人たちの関わりの中で5年の歳月を経て完成しました。

ロープウェイ 商店街は、四国最大の大街道商店街の一つに挙げられる商店街ですが、名物の坊ちゃん列車が走る大きな国道に阻まれ、一等地でありながら人通りが三分の一に減る商店街です。このような商店街に来て頂くために、私が当初考えたのは「当地区のお宝はなんぞや、どんなマチにしたいか」でした。一番のお宝は、松山市の中心地に位置する山頂に松山市民のシンボルとなっている松山城です。松山城は全国に現存する多数の城の中でも、400年を経て木造で残る12にしかない城の一つです(四国には確か4~5城あります)。ロープウェイ街(昭和30年に ロープウェイ 完成)は、この松山城に上がる沿道として発展・形成されたと共に、その昔当地区は小唐人町と呼ばれた職人町でした。400年の時代を経ても人々を感銘させ続ける城……、壮大な石垣・石組み、木柱張り、漆喰、鉄鋲、瓦、素朴な素材を匠の職人達が組み合わせて長い年月命を懸け、手間暇かけて築きあげた物語、日本の美の集大成であることに気付かされたのです。

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