by 渡部元吾
冷え性に強い味方の羽毛ふとん。暖かさの要は生地にあり!
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羽毛ふとんは、中に充てんされている羽毛と羽毛を包む布でできています。
この布を側生地(がわきじ)といいます。
ほとんどの羽毛布団はこの側生地に、羽毛の吹き出し防止(ダウンプルーフ)加工が施されています。
この加工のために側生地の通気性が不足している羽毛布団が多く、これらの羽毛布団を使用すると爽やかな暖かさではなく、冬場でも蒸れた暑さを感じてしまいます。
お客様にこのお話をするとよく言われます。
「分かった原因はそれだ!実は冬でも寝汗がすごいんです。
暑いから布団を剥いでしまって、そうすると寒くてまた布団を掛けてと、一晩中繰り返していてなんだか寝た気がしないんです。」
羽毛布団を購入する時に、羽毛の産地や量、ダウンとフェザーの割合など中の羽毛ばかり気にしていませんか?
中には「どうせカバーを掛けて使うから側生地なんてなんでもいいです。」と言うお客様もいらっしゃいます。
実は羽毛布団の快適性を決定するのは羽毛ではなく側生地です。
今回は羽毛布団の側生地についてあなたにもっとよく知っていただきたいと思います。
ダウンプルーフ加工とは
羽毛は繊維(ファイバー)が細く弾力があるため、一般的な洋服地などでは生地を織り上げている糸と糸の隙間から羽毛が飛び出してしまいます。ダウンプルーフ加工を施すことによって羽毛が側生地を通り抜けて外へ出にくくなり、羽毛布団のボリュームを保つことができるのです。
加工方法は、高密度に織られた羽毛用側生地を、高熱スチームで蒸しながらローラーに通し、高い圧力をかけて糸目を潰して隙間を塞いでしまうというものです。他にも、簡単に化学薬品でコーティングしてしまう方法もあります。
しかし、ダウンプルーフ加工を施すと生地は固くなってしまいます。
特に太い糸で織られた生地は固くなりやすく使用するとガサガサと音がする生地になってしまいます。「羽毛布団は生地の音が気になるから使わない」という方もいるぐらいです。
そして、強く加工を施すと羽毛の吹き出しは無くなりますが、生地の通気性は不足してしまいます。
通気性のまったくない側生地は、まるでビニールのようなもので強い蒸れ感が出て眠る時に使えたものではありません。
加工が弱いと通気性は確保されますが羽毛が吹き出す生地になってしまいます。
加工の掛け具合がとても難しいのです。
糸の太さについて
代表的な羽毛布団用の側生地は50/40ツイル織り・60サテン織り・80平織りなどですがこの数字は糸の太さを表していて番手といいます。数字が大きくなるほど糸は細くなります。一般的なシャツやブラウス生地は50番手の糸が使用されています。50/40とはタテ糸が50番手ヨコ糸が40番手という意味です。
細番手の糸で織り上げた生地の方が薄くて軽くて柔らかく、しなやかに体にフィットする羽毛布団用生地が織り上がります。
織り方について
ヨーロッパでは軽い平織りが、日本では柔らかいサテン織りが主流
羽毛布団の本場ヨーロッパでずっと使われてきたのは平織りです。
平織りはタテ糸ヨコ糸が一本ずつ交互に重なるため、織りが安定して丈夫で、細い糸で織り上げて軽く仕上げることができるからです。
一方品質基準の厳しい日本では羽毛布団の吹き出しを防ぐダウンプルーフ加工を強くかける必要がありました。
平織り生地に加工をかけると生地が固くなってガサガサと音がし生地の風合いも良くありません。
そのため、日本では柔らかいサテン生地が好まれ羽毛布団の普及期からずっとサテン織りが主流です。
ヨーロッパでは羽毛が吹き出すことに神経質ではありません。通気性・快適性の方を重視しています。
また、サテン生地は柔らかさはありますが、平織り生地よりも20%ぐらい重くなります。
それは、糸の密度を上げて織られているためです。
ではなぜ密度を上げているのでしょう?
その理由は、平織りよりも羽毛が吹き出しやすい織り構造になっているからです。
そして、サテン生地が主流の日本では、生地重量が1㎡あたり105~150gという、ヨーロッパに比べて重い側生地ばかりになってしまいました。
羽毛布団の側生地に求められるものは軽さと通気度
通気度とは
測定器に生地片を取り付け125Pa(パスカル)風速に換算すると15m/秒の圧力をかけた時、1秒間に生地片を通過する空気の量(単位:cm³/cm²・sec)を測定したものです。クールビズ対応の衣料の場合必要とされる通気度は50cm³/cm²・sです。
羽毛布団が木綿わたの布団より優れているところ
それは羽毛が適正に布団の中の温湿度を調節するところです。
温湿度の調節をすばやく行なうためには、側生地の通気性が良く軽量であることが重要です。生地の通気度が高い方が、快適に眠ることができます。
ただ日本の羽毛ふとん用織物品質基準では、サテン生地の通気度は一秒あたり3cm³/cm²未満、洗濯後4cm³/cm²未満でなければなりません。
そのため、実際には1.5cm³/cm²ぐらいに織り上がっているものがほとんどです。
また、生地が軽い方が即温性が高く羽毛の良さが生きてきます。生地重量は100g/㎡以下のものをお選びください。
生地が厚手で重くなると、中に充てんされた羽毛に負荷が掛ります。羽毛が押しつぶされると長所である吸湿発散性が損なわれ、布団の厚みがなくなって保温性も下がります。
また、厚手の生地は湿気を含みやすく生地を暖めるために体温を奪われてしまいます。
生地が薄い方が羽毛に体の温かさが伝わるのが早く、保温性がアップします。また乾燥するのも速く湿気が籠もりにくくなります。
標準的な 60サテン |
重量 136g/㎡ |
通気度 1.3(cm³/cm²/秒) |
100サテン | 重量 99g/㎡ |
通気度 1.5(cm³/cm²/秒) |
ドイツ製平織り FB250 |
重量 68g/㎡ |
通気度 6.0(cm³/cm²/秒)以上 |
つまり、最も快適な温湿度の実現には蒲団屋お勧めのドイツ製高級綿の平織り生地FB250が最適です。
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通気度が高い生地には上質な羽毛が必要です
通気度の高い側生地に、ダウンのファイバーなど羽毛ゴミが多い低品質の羽毛を充てんすると、羽毛がたくさん吹き出してしまいます。
通気性が高い生地には手で選別された羽毛ゴミが少ない良質な羽毛の充てんが必要です。
それなりに高額になってしまいますが、通気性が高いため空気の循環が早く、即温性・速乾性もアップし快適な寝床内温湿度をキープできます。快眠するために必須の素材です。
→羽毛に関するもっと詳しい解説ブログはこちら
理想の羽毛布団用生地とはどういうものなのか?
結論は、軽くて通気性があり羽毛の吹き出しの少ない綿100%の平織り生地です。
実は、羽毛布団の本場ドイツではほとんどこの基準が採用されています。
日本で多く使用されているポリエステル混の生地は、ドイツでは安い品であってもまず使われることはありません。ポリエステルが混ざると通気性が悪くなり、特に湿度の高い日本では、蒸れて不快感が増すためお勧めできません。
そして、通気性の良い生地には、羽毛ゴミの少ない手選別でより分けられた良質な羽毛が必要となります。
蒲団屋では、良質な側生地と羽毛を取り揃えて快適な羽毛布団を真面目に丁寧に作っています。
羽毛布団だから快適なはずというのは大きな勘違いです。
あなたの眠りに目を向けてください。何か気になることはありませんか?
そんな方はぜひ蒲団屋を覗いてみてください。目からウロコの情報満載であなたをお待ちしています。
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